土地や建物などの不動産物件を探していると「市街化調整区域」を目にすることがあると思います。
市街化調整区域にはメリット・デメリット両面あり、購入検討の際は両方のバランスを考えることが大切です。
今回は茨城県つくば市を例に挙げ、具体的な市街化調整区域の調べ方なども詳しく解説します。
目次
■つくば市は80%以上が市街化調整区域
市街化調整区域とは「市街化が進むのを抑制するため、新しい建物の建築を制限する地域」のことを指します。誰もが好きな場所に家を建て、上下水道や道路の無い不良市街地が形成されるのを防ぐのが主な目的です。
つくば市を例に挙げると、公式ホームページで次のように明記されています。
市街化調整区域は、都市計画区域のうち市街化を抑制すべき区域のことです。市街化調整区域では、農林漁業用の建物や、一定の要件を満たす計画的開発を除き、建物の建築や、開発行為が原則として規制されています。
引用元:つくば市公式ホームページ
市街化調整区域は原則として新築や建て替えが制限されていますが、開発許可を受けることで可能になります。つくば市の場合都市計画区域の81.2%が市街化調整区域となっているため、物件探しで行きあたる確率は高いです。
市街化調整区域といっても売りに出されている以上建築が可能なはずですが、普通の土地との違いは気になるポイント。メリット・デメリットをそれぞれ把握し、正しい判断ができるようになっておきましょう。
■市街化調整区域を購入するメリット
・相場より安い
市街化調整区域は、一般的な居住用の地域とくらべると安い価格で土地を購入できる点が大きなメリット。市街化区域と同じ価格で広い土地を手に入れたり、土地購入費を抑えて建物に費用を回したり、いろいろな選択肢が増えます。
・税金が安い
土地の評価額を基に計算される固定資産税が安くなるのも、市街化調整区域の魅力です。一年の額は少なくても、長く暮らすほど金額的なメリットは大きくなります。
都市計画区域に含まれないため、都市計画税が一切かからない点もメリットです。
・大きな建物が経つ心配が少ない
市街化調整区域は原則大きなビルが建つことはないので、家を建ててから日影になる心配が少ないのも意外なメリットです。
・静かでのびのびとしたエリアで暮らせる
大型の商業施設や駅といった人が集まる場所が無いので、静かな環境で暮らしやすい点も市街化調整区域ならではのメリットです。
今後大きな開発が行われる可能性もほぼないので、住環境が大きく変わる心配もありません。
・広い土地を確保しやすい
駅前や人気の住宅街と違い、市街化調整区域では広い土地の物件が多いのもメリットの一つ。隣の家との距離が遠く、のびのびと暮らせる広い住環境を整えやすいです。
■市街化調整区域を購入するデメリット
・開発許可が必要
市街化調整区域の土地を購入して新築を建てる場合原則として開発許可が必要となるため、手続きが増えるのはデメリットといえるでしょう。
不動産市場に出回っている市街化調整区域の物件なら許可が下りない可能性は低いですが、都市計画法34条の条件をクリアできないと建てられない可能性もあります。
リフォームの場合も制限がかかるケースがあるため、中古住宅の場合も購入前にしっかり確認する必要があります。
・インフラ整備が行き届かなくなる可能性がある
自治体が市街化を抑制する地域は、上下水道や公共交通機関などのインフラ整備も積極的には行われないということです。エリア自体が発展することはないため、新しい駅やバス停など利便性が向上する可能性は低いです。都市ガスや下水道がないエリアも少なくありません。
インフラ整備の優先度が低いため、もともと市街地だったエリアもだんだん不便になっていく可能性もあります。すでに人口が減少している自治体の場合、特に注意すべきデメリットです。
・学校や病院が遠いことが多い
都市開発が進められない市街化調整区域は、学校や病院などの重要施設が近くにないケースも多いです。育ち盛りのお子さんや高齢のご家族がいるご家庭の場合、購入前にしっかりチェックすべきポイントです。
・商店が撤退する可能性が高い
市街化調整区域は人口が減っていくため、スーパーやドラッグストアなどの商店が撤退する可能性が高い点も大きなデメリット。民間企業は利益が上がらないエリアからは当然撤退してしまいます。
エリア内の商店が少なく、次の店が遠いエリアは注意したほうが良いかもしれません。
・建て直しできない可能性が高い
市街化調整区域は建て直しにも開発許可が必要になるため、将来許可が下りないリスクもあります。許可が下りない場合、建物が寿命を迎えたら住み続けることはできなくなってしまいます。
太陽光発電やコインパーキングなどの活用方法は考えられますが、用途が限定されてしまう可能性があるのは痛いポイント。
・売却しにくい
ここまでご紹介したマイナス面の印象が強く、いざ自分が売却するときに売れにくいのも市街化調整区域のデメリットの一つです。市場価格より安いのも、売却時は高値が付きにくいデメリットとなります。
特にこれからは人口の減少が進み空き家率が上昇するため、市街化調整区域の購入希望者が減ってさらに売れにくくなる可能性も。
転勤などで将来売却する可能性がある方は特によく検討しましょう。
・住宅ローンや融資が通りにくい
住宅の建築を前提としていない市街化調整区域は、新築の許可が下りても住宅ローンの審査が通らないケースもあります。金融機関によっては市街化調整区域を対象外にしているところもあり、選択肢が限られるのはデメリットといえるでしょう。
市街化調整区域はほかのエリアとくらべて土地の評価額が低い傾向があるので、融資額も少なくなる可能性があります。
■市街化調整区域の調べ方
・物件情報をチェックする
めぼしい物件が決まっている場合は、まず物件資料で市街化調整区域か否かチェックしましょう。用途地域・都市計画など表記はさまざまですが、市街化調整区域に含まれている場合どこかに表記があるはずです。
・自治体の都市計画マップ参照する
検討しているエリアがある程度決まっているなら、自治体の都市計画マップなどを使って調べる方法も良いでしょう。
つくば市の場合都市計画マップがホームページで公開されているので、市内の全域の都市計画や規制を確認できます。上の写真だと居住地域は色が付いていますが、白色の部分は市街化調整区域ということになります。
参照:つくば市都市計画マップ
・地元情報に精通した不動産会社に相談する
市街化調整区域に指定される理由はさまざまで、メリット・デメリットのバランスは物件ごとに見極める必要があります。買って良い場所かどうかの判断は、エリアの情報を良く知っている地元不動産会社に相談するのがおすすめです。
ある程度検討エリアが絞れたら、その地域を得意とする地元不動産会社に話を聞いてみましょう。
■まとめ
今回ご紹介したように、市街化調整区域はメリットとデメリットのバランスを考え、購入を検討することが大切です。ライフスタイルや建てたいマイホーム像によっては市街化調整区域がマッチするケースもありますので、選択肢の一つとしてぜひ検討してみてください。
茨城県で新築用の土地や中古住宅をお探しの際は、ライズクリエーションにご相談ください。地元密着スタイルならではの情報量で、市街化調整区域も含めたたくさんの物件からお客様にピッタリな一軒をご紹介いたします。
物件探しはもちろん、資金計画やリフォームプランのご相談など、どんなことでもご相談いただけます。ご来店で紹介できる物件もたくさんありますので、ぜひお気軽に遊びにいらしてください。
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